電気のお仕事その10
弊社の仕事に、いつもご理解およびご賛同をしていただき、ありがとうございます。
今回で電気は10回目の掲載になります。
前々回お話した続きで、資格更新講習で受講した内容の一部をご紹介したいと思います。
今回は「2019年度計装士技術維持講習会」についてのお話です。
計装士維持講習会とは、(一社)日本計装工業会が実施する1級又は2級計装士技術審査に合格した者(資格を保有している者)が5年毎に受講する維持講習会のことです。
講習会のテーマの内、「計測、校正における最近の話題」についてお話しします。
(2019年度計装士技術維持講習テキストより抜粋)
その内容は、下記の6項目がありました。
- 計測と精度
- 計測と校正
- 校正関係の書類
- 初めての不確かさ
- 適合性評価
- SI単位が変わります
6項目を全てお話することは出来ないので、一部を紹介致します。
計測と制度
*計測用語「JISZ8103-2019」が新しくなった(2019年5月20日)
→「国際計量計測用語集VIM」を取り込んだ。
→"精度"、"誤差"、"真値"、"校正"、を厳密に定義した。また、用語が統一された。
*「日本工業規格」から「日本産業規格」へ名称変更(JISマークはそのまま使用)
*計測(Measurement)系と計量(Metrology)系の合体
"精度"という言葉は世界的には存在しない(日本にのみ存在する言葉)
(計器にとって"精度"数値は共通化・一般化してない。曖昧な数値で科学的な定義も無い)
(計器の具体的な性能、特性数値はメーカが独自に決めている、国際的な基準・規格は無し)
*"精度"を分解すると
"精度"を機械・物理分野では"精確さ"の意味で、化学分野では"精密さ"の意味で使用。
"精度"を使用する場合は"精確さ"か"精密さ"のどちらの意味で使っているか明確にする。
*古い"精度"の定義では、真値(基準値)は一つで、測定値のバラツキの大きさを考慮せず
カタヨリの大きさを"誤差"として表現していた(真値は観念的なもので実在はしない)。
*新しい定義では、標準値(基準値)と校正値(計測値)との差を"正確さ"(カタヨリ)、または"偏差"といい"誤差"という表現は無くなった。
校正値(計測値)の"精密さ"(バラツキ)に注目する(どれくらい"確か"なのか?)。
*計器の性能
初めての不確かさ
*"不確かさ"とは、"バラツキ"と"あいまいさ"を数値化したもの
"バラツキ"とは計測データが揃っていないこと
"あいまいさ"とは我々の知識のこと
*なぜ"バラツキ"が注視されたのか?
*考え方の変化
・偏差(誤差)管理から区間(信頼性)管理へ変化
→どれくらい離れているか?から、どれくらい"確か"なのか?へ
*計器メーカーはどの様な方法で"精度"を決めているのか?
・A社は"偏差"(誤差)派、B社は"不確かさ"派、C社は曖昧→各社毎に相違している
*校正結果(値)を求めるために最大の努力をすると、必然的に"不確かさ"が付随する
適合性評価→適合性の表明(宣言)
*性能→そのものの能力の大きさで一般的には適合性評価で試験とか検査で判断。
*特性→そのものだけが持つ固有の性質で一般的には実証値の検証。校正がその行為。
*検査・試験→製品の規格、仕様適合の確認をすること(適/不適、合/否の判定をする)
*校正→製品の固有値を実証すること(適/不適、合/否の判定はしない)
(健康診断に例えると、採血した結果の各項目値(校正結果)に対して、基準値(許容範囲)と比較して最終的に判定(良/不良)を行うこと)
・「適合性の表明(宣言)」は、適合性評価(検査・試験・校正)などがその手段となる
・「有効期限」(日本のみ)という言葉は無くなった→「校正周期(間隔)」に変わった。
SI単位が変わります
*4つのSI単位が変わった(日本では、2019年5月20日に告示)。
*このSI単位が変わったことで原器が無くても、誰でも「キログラム」や「アンペア」の単位を実現出来るようになったこと。
経験のある方や興味のある方は免許取得に挑戦してみては如何でしょうか?